ハチの巣
ベランダの、キャンプ用の椅子やらなにやらをごちゃごちゃ立てかけてあるところに、5月か6月ごろからアシナガバチがせっせと巣を作り出した。
今ではキショクワルイほど巣が大きくなってハチの数も増え、巣の下に置いてある焚火台が取り出せない。
明日BBQに行くねんけど・・・
息子に「お前、取れ」と命令したが、命令に従わない。
以前から、巣を駆除しようかどうしようか迷っていたのだが、いろいろ調べてみると、ハチはまるきり”害虫”ではなく、アブラムシやイモムシを肉団子にして自分たちの幼虫に与えるらしく、自然界の生態系の中で立派な存在意義があるらしい。
少なくとも、自分の子を殺すニンゲンやテメエの親がミイラになってもほったらかして年金を掠め取るニンゲンなどよりも、立派な必要な存在である。
一応、”ハチ直撃7m”なる撃退スプレーを用意しているが、日々、ベランダに出てタバコを吸いながら巣を眺めていると(距離2m程度)、せっせせっせと入れ代わり立ち代わり巣に戻って巣から飛び立ち、エサを運んだり巣の増築に励んだり・・・
そりゃあハチはコワいしキライだし、巣はグロテスクで不気味だし、さっさと駆除してしまいたいのはヤマヤマだが、特別コチラに攻撃をしかけてくる訳でもなく、一所懸命な働きぶりを見るにつけ、秋になれば巣から出ていくらしいし、攻撃さえしてこなければこのままでしばらく我慢するか・・・と思っていた。
が、せっかくの休みに、せっかくのBBQなのである。
焚火台が無いと、炭を熾せないのだ。娘の遊び道具もそこいらに置いてある。
日が暮れてハチがおとなしくなっている隙に、恐る恐る巣の下の焚火台を取ろうとしてみたが、巣がブラ下がっている”折り畳み椅子”は、焚火台に微妙に寄りかかっており、焚火台を動かすと巣もグラグラと動き、巣の上部にゾワゾワと群れているハチ達が何事かと蠢くのだ。
こっわー!
しゃーない!
スプレーを取出し、ベランダへの入り口から巣に向けてスプレーを噴射。
噴射後、窓越しにライトで照らして確認してみると、ハチ達は巣からもんどりうって落ち、地面でもがき苦しむもの多数、中にはこちらに向かって飛んでくるものもいるが、窓にぶつかってそのまま下に落ちてもがき苦しんでいる。
地獄絵図。
ぼくは、とてつもない罪悪感に襲われ、いたたまれなくなった。
スマン・・・
とは思えど、明日のBBQではそんな罪悪感はすっかり忘れて楽しむことだろう。
せめて、この先アシナガバチを見かけたら、都度”悪かった”とあやまることにしよう。


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